第3回ちいさな発見について
身近な微生物や虫を顕微鏡観察する無料イベント「ちいさな発見」。
今回は、北アルプスのふもとにある国営アルプスあづみの公園で開催しました。当日は雨。しかしキャンセルは一組もなく、予定通り11組の親子と当日飛び入り2組の計13組、36名の方が参加してくれました。
今回のイベントの最大の特徴は、採った虫やプランクトンをその場で観察する点。あらかじめスタッフが用意したサンプルを観察するわけではありません。安曇野公園と共催で企画、2ヶ月前から準備をすすめてきました。当日は特別な許可の下、子供たちにその場で「採取→観察」を行ってもらいます。
クワガタやカブトムシなど虫のスターを採ることが今回の目的ではありません。子供たちの目に付いたあらゆる虫が対象。どんな虫が採れてもいいように虫博士をお呼びし、弊社スタッフを13名配置。子供たちの好奇心を邪魔しない体制は万全。その先に何がまっているか。それでは当日レポートです。
当日のレポート
7月28日、小雨。予定通り開催。公園に到着するとすぐにスタッフで準備を開始しました。
なぜこのようなイベントを行っているかを説明したパネルも今回用意しました。
「本日はイベントにご参加いただき、ありがとうございます。このイベントは、地球環境の今を伝える仕事をしている私たち環境未来が、そのノウハウを活かして、環境の大切さや技術の面白さを皆様に知っていただきたいと思い、企画しました。どうぞお楽しみください」
10時スタート。
予定通り10時にイベントスタート。まずはじめに、スタッフがイベントの概略と注意事項をガイダンス。どんなふうに虫を採り、どんなふうに観察し、どんなことに注意するか説明しました。
今回は、虫を捕ったら小さなジップロック付きビニール袋(下の写真)に入れてもらい、そのまま顕微鏡で観察する作戦です。
公園にはサシガメやマツモムシ、イラガなど触ると危険な虫もいるので、パネル(下)を使って危険な生き物を解説。
さらに、ここには長野県と九州にしか生息しない絶滅危惧種オオルリシジミ(下写真)が生息していることも伝えます。ただし、この時期は成虫は飛んでいないので、保護区域の場所を説明して、そこには立ち入らないように伝えます。
そのあと、「虫はかせ」のご紹介。虫はかせをお願いしたのは、清水輝彦さん。松本市在住で、NPO法人日本チョウ類保全協会の会員の方です。絶滅危惧種のチョウの保護などを行っていて、「世界のカブトムシ」など本も出版されているなど、広く虫に精通している方です。今回、イベントの企画段階から参加していただきました。「虫の名前や生態、なんでも気軽に虫はかせに質問してね!」
早速、虫採り、プランクトン採り開始!
早速、観察対象のサンプルを採りに、小袋と虫取り網、あるいは池のプランクトン採取瓶を持って野外へ。外は雨ですが、子供たちにそんなの関係なし。
早速子供たちがサンプルを採って戻ってきました。さあ、ミクロ観察だ。
ミクロ観察開始!
「虫や池の水を採ってきて」と言ったのに、いきなり顕微鏡わきに届けられたのはミミズ。子供の発送の自由度にはやはりかないません。
しかしこのミミズ、観察してみると面白いことが分かりました。写真で記録できませんでしたが、ミミズの表面の一部が青く筋状に反射していました。なぜ、ミミズが青い光を反射させるか?照明ライトに青みが強いだけなのか、それともミミズの体表に青を反射しやすい特性があるのか。はっきりしたことは分かりませんでしたが、これは一つの発見なのかもしれません。
そのあとも観察は続きます。
池の水のプランクトンも観察します。プランクトンを見るためにまず濃縮処理をスタッフが行います(下写真)。
こちらも写真には記録できませんでしたが、ミジンコ、ゾウミジンコ、カイミジンコが見ることができました。「ゾウミジンコかわいい〜」
こちらはクモを観察しているところです。
彼が捕まえたのは、、、
タイコウチの子供。
こちらはトンボ。
塗り絵コーナーの様子。
こんなオシャレなミジンコが完成。卵が青とピンクで色分けされていて可愛い。
この絵は弊社検査課の和田さんが描いてくれたものです。目元がかわいいんです(下)。
今回のスタッフのTシャツにも和田さんの絵を入れてみました(下)。
こちらは珍しい紋班をもったナミテントウです。
テントウムシの足には毛がびっしり生えた部分が一本の足に付き2カ所ありました。これはテントウムシが壁や枝をすらすら登るのに一役買っているようです。
こちらは少年がキマワリを観察しているところです。
今回一般観察コーナーも設けて、公園来場者にもクマムシやミジンコ、トンボの羽などを見ていただきました。
クマムシ探し中のスタッフ。
虫はかせ(清水さん)が子供の虫の質問に自前の図鑑を使って答えています。
こちらはカナヘビ。トカゲの仲間です。一部のスタッフが思わずひるみます。
しかしミクロ観察してみるとびっくり。お腹のうろこが美しいこと。黄色く整然と並んだうろこを眺めていると、恐竜や白亜紀、果ては悠久の進化の時間に思いをはせます。参加者の中にはカメラに収める方も。
こちらはセンチコガネ。金属光沢が美しい。顕微鏡でみると、丸い毛穴のような穴が背中表面に広がっていました。
イベント終盤にクロスジギンヤンマ登場。参加者の子供が採りました。虫はかせ曰く、「これは素早く飛ぶので、なかなか採るのが難しいんだよ」。
捕まえた虫は逃がしました。
以上がレポートです。
参加者の方からは「毎月やってほしい」、「斬新なイベント」などお褒めの言葉をいただきました。また、共催のあづみの公園のスタッフさんからは、「自分たちではなかなかできない企画」、「驚いた」などうれしいお言葉をいただきました。
わたしたちにとっても、子供たちの発想の自由さ、持ち込まれる生き物の想定を超える幅の広さに、ハッとさせられっぱなしの1日でした。
ちいさな発見は定期的に行っておりますので、是非今後もみなさんご参加ください。
WEB担当
↓こちらは過去の記事です。
準備が着々と進んでいます。
7/22現在までに、11組、計30名のお申し込みがありました。中にはご家族4人でお申し込みいただいた方もいて、わたしたちとしては大変うれしい限りです。
イベント当日に向け、準備を着々と進めています。下の写真はどんな虫・プランクトンがいそうか事前下見をしているところです。この日はあいにくの小雨でした。
雨の日でもいろんなところにいろんな虫がいました。池の中、葉っぱの裏、木の枝、コンクリートの壁。北アルプスに抱かれたこの土地は多くの生き物を育んでいるようです。
でももしかしたら虫の下見なんて、必要ないのかもしれません。下見の日にいた虫と当日いる虫はきっと違うでしょう。プランクトンだってそうです。1週間後にきてみたら、プランクトンの種類が全く違っていたなんてこともよくあります。水温や季節の匂いに敏感なのでしょうか。
それに、子供たちはわたしたちの下見では気がつかなかったような虫やプランクトンをたくさん採ってくるように思います。
葉っぱの裏にマメコガネ?いや、マメコガネとはちょっとちがいますね。わたしたちは環境分析のプロではありますが、虫のプロではないので、誰も名前が分かりません(汗)。
でもご安心を。当日は松本市在住の虫はかせをお呼びし、虫についてのいろいろな質問を受け付ける形をとります。その方は、長野県の珍しいチョウの保護をしていたり、世界のカブトムシという本を出版されている虫に大変お詳しい人です!
もちろん虫の名前や生態を知ることも面白いですが、このイベントの肝(きも)は顕微鏡観察。それも、子供たちがその場で採った虫や池のプランクトンをすぐに顕微鏡観察。スタッフがすぐにピントを合わせてくれるので安心。子供たちの「発見」を優先します。
お!スタッフが何かを発見。
なんと、カメノコテントウでした。一部の虫好きな子供にとってはあこがれのテントウですね。こんなテントウがふつうにいる公園、それがアルプスあづみの公園です!
当日、どんな虫がつかまるのか、どんなプランクトンがつかまるのかは分かりません。だから、わたしたちスタッフも正直ドキドキしてますが、子供たちの「観たい」を大事に、好奇心を邪魔せずに、「発見」を後押ししたい。そういう気持ちで当日に臨みたいと思っています。
では、当日みなさんにお会いできるのを楽しみにしています。
(このイベントは事前申し込み方ですが、一般入園者向けにも簡単な観察コーナーを設けます)